大人気ライトノベル『薬屋のひとりごと』には、なんと2種類の漫画版が存在することをご存じですか?
一つはスクウェア・エニックスの『ビッグガンガン』版、もう一つは小学館の『サンデーGX』版です。
この記事では、それぞれの漫画の作風やストーリー構成、作画の違い、どちらから読めばいいのかを徹底的に比較・解説していきます。
- 『薬屋のひとりごと』漫画2作品の掲載誌や作者の違い
- ビッグガンガン版とサンデーGX版の絵柄や構成の特徴
- どちらが原作に忠実で読みやすいか、初心者向けの選び方
ビッグガンガン版とサンデーGX版の大きな違いとは?
『薬屋のひとりごと』は、同じ原作から生まれたにも関わらず、異なる2つの出版社から漫画化されています。
それが「ビッグガンガン版(スクウェア・エニックス)」と「サンデーGX版(小学館)」です。
この2作品には、作画、構成、進行スピード、雰囲気など、多くの違いがあります。
掲載誌と出版社の違い
ビッグガンガン版は、スクウェア・エニックスが発行する月刊誌『月刊ビッグガンガン』で、2017年6月号から連載されています。
一方で、サンデーGX版は、小学館の『月刊サンデーGX』で、2017年9月号から始まりました。
つまり、スタート時期は近いですが、所属する出版社も掲載誌も完全に別で、別々のチームが同じ原作をもとに描いているのです。
タイトルと構成担当者の違い
ビッグガンガン版の正式タイトルは『薬屋のひとりごと』で、作画はねこクラゲさん、構成は七緒一綺さんが担当しています。
それに対して、サンデーGX版のタイトルは『薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜』で、作画は倉田三ノ路さんが手がけています。
このタイトルの違いからもわかるように、サンデーGX版は「猫猫の視点」にフォーカスして謎解き感を強調した構成が特徴です。
話の進行ペースの違い
2025年3月現在、ビッグガンガン版は15巻、サンデーGX版は19巻まで刊行されています。
この巻数の差からもわかる通り、サンデーGX版の方がテンポよく展開し、事件の描写が少し速めです。
逆にビッグガンガン版は、キャラクター同士の感情や関係性を丁寧に描いている印象が強く、じっくり読みたい派にはこちらが向いています。
私自身、両方を読んでいて感じるのは、同じストーリーでも「視点」や「演出」が違うことで全く別の物語のように楽しめるという点です。
ミステリーの謎解きをスリリングに味わいたい人はGX版、人物の心情や表情をじっくり感じたい人はビッグガンガン版と、好みによって選べるのが魅力ですね。
絵柄と作画スタイルの比較
同じ『薬屋のひとりごと』でも、ビジュアルの印象は漫画家によって大きく異なります。
ビッグガンガン版とサンデーGX版、それぞれの作画担当者のスタイルには、はっきりした個性が表れています。
ここでは、作画を担当するねこクラゲさんと倉田三ノ路さんの絵柄と描写スタイルの違いを、わかりやすく比較してみましょう。
ねこクラゲ(ビッグガンガン版)の特徴
ねこクラゲさんの描く『薬屋のひとりごと』は、やわらかく繊細な線で構成され、キャラクターの表情が豊かで感情が伝わりやすい作風です。
特に主人公の猫猫(マオマオ)は、かわいらしさの中に聡明さと毒気を併せ持つ絶妙なバランスで描かれていて、読者の共感を呼びやすい印象です。
背景や衣装も細かく描き込まれており、ビジュアル面でも「後宮の華やかさ」を感じられるのが魅力です。
倉田三ノ路(サンデーGX版)の特徴
倉田三ノ路さんの作品は、ややリアル志向で、線が力強く、人物描写が骨太な印象です。
猫猫は、ビッグガンガン版に比べて少し大人びて落ち着いた表情で描かれており、読者によっては「より原作小説の雰囲気に近い」と感じる方も多いようです。
登場人物の描き分けがしっかりしており、ミステリー感やシリアスな場面の緊張感がより強く伝わるのも特徴です。
雰囲気・キャラデザインの好みで選ぶなら?
どちらも魅力的な絵柄ですが、読む人の好みで印象がかなり変わるのがこの2作品の面白いところです。
- 可愛らしいキャラクターや後宮の華やかさ、ロマンスの雰囲気を楽しみたいなら→ねこクラゲさん(ビッグガンガン版)
- 骨太な物語やリアリティある心理描写、推理要素をしっかり味わいたいなら→倉田三ノ路さん(サンデーGX版)
私個人としては、まずビッグガンガン版から入って猫猫の魅力に触れ、その後GX版を読むことで深みが増すと感じました。
異なる角度から楽しめるのは、同じ作品を二度おいしく味わえるような感覚で、まさに「一粒で二度おいしい」状態です。
どちらの漫画が原作に忠実?ストーリーの違い
『薬屋のひとりごと』には、小説版を原作とした2つの漫画があります。
どちらも同じ原作をもとにしているとはいえ、描かれる内容や順番、演出の違いがあります。
では、どちらの漫画がより原作小説に忠実で、どのようなストーリーの違いがあるのでしょうか?
原作のエピソードの扱い方
基本的に、両方の漫画は原作小説に沿ってストーリーを展開していますが、細かなエピソードの取り扱い方には違いがあります。
ビッグガンガン版は、原作のセリフや描写を丁寧に拾っていて、忠実な再現に近い印象です。
対してサンデーGX版は、事件の構成や流れにメリハリをつけて、テンポ重視でスリリングに再構成されています。
オリジナル演出や省略の有無
ストーリー展開の中で、GX版は一部の説明を省略したり、逆に視覚的な演出を強めたりする傾向があります。
その結果、「漫画ならではの表現」が加わり、ややドラマチックな印象を受ける読者もいるかもしれません。
一方、ビッグガンガン版はオリジナル要素を抑え、原作小説の地の文や猫猫の心理描写を意識した演出が特徴です。
ストーリーの深掘り度で選ぶなら?
どちらがより「原作に忠実」かといえば、ビッグガンガン版の方が忠実度は高いと感じました。
その一方で、サンデーGX版はスピーディーで読みやすく、事件の謎解きがテンポよく展開されるため、「初見の読者」や「推理を楽しみたい人」に向いています。
個人的には、ビッグガンガン版でじっくり世界観を味わい、GX版で展開のスリルを再体験する、という読み方がおすすめです。
読者の評価やレビューから見る2作品の人気度
『薬屋のひとりごと』の漫画版は2種類ありますが、どちらが読者に人気があるのかは気になるところですよね。
ここでは、巻数・売上・SNSでの話題などをもとに、2作品の人気の傾向を探ってみます。
SNS・書店・レビューサイトの声
まずは販売実績から見ると、サンデーGX版の方が巻数が進んでおり、読み応えがあると評価される傾向にあります(2025年3月現在で既刊19巻)。
対して、ビッグガンガン版は15巻までですが、作画の美麗さや猫猫の可愛らしさが話題になることが多いです。
X(旧Twitter)やPixivなどでは、ビッグガンガン版の絵柄での二次創作が盛んで、キャラクター人気も強い印象を受けます。
初心者におすすめなのはどっち?
もしこれから漫画を読み始める人がいたら、まずはビッグガンガン版をおすすめしたいと私は感じます。
というのも、ストーリー進行が丁寧で、猫猫の表情や心理がわかりやすいため、原作の世界観にじっくり浸ることができるからです。
反対に、テンポよく読める方が好きな人やミステリーがメインの人には、サンデーGX版のほうが向いているかもしれません。
両方読むのもアリ?併読のメリット
結論としては、2作品を併読することで「薬屋のひとりごと」の奥行きを二重に楽しめるというのが最大のメリットです。
同じシーンでも、絵柄・構成・感情の表現が異なることで、解釈が深まり、読後感にも違いが出てきます。
私自身、同じエピソードをそれぞれの漫画で読み比べてみたとき、「なるほど、こっちの描き方の方がこの場面の緊張感が出てるな」と感じることが何度もありました。
1つの物語を2つの視点から楽しめるというのは、ファンにとって贅沢な体験です。
『薬屋のひとりごと』漫画2作品の違いまとめ
ここまで、スクウェア・エニックスのビッグガンガン版と、小学館のサンデーGX版の2つの漫画について比較してきました。
原作は同じでも、漫画家の個性や編集方針によって、まったく違った作品に仕上がっていることがわかります。
以下に、それぞれの特徴を簡単に整理してみます。
項目 | ビッグガンガン版 | サンデーGX版 |
作画 | ねこクラゲ | 倉田三ノ路 |
構成 | 七緒一綺 | 倉田三ノ路(兼任) |
絵柄の印象 | 繊細で可愛らしい、感情豊か | リアルで大人びた、骨太な画風 |
展開のテンポ | ゆっくり丁寧 | テンポが早くスリリング |
原作への忠実度 | 非常に高い | 再構成あり、演出重視 |
巻数(2025年3月時点) | 15巻 | 19巻 |
このように、同じ『薬屋のひとりごと』でも、それぞれの漫画で「感じ方」が変わるのが最大の魅力です。
読者としては、どちらか一方を選んでも楽しめますし、両方読めば深く味わえるという贅沢な選択肢があります。
まだどちらも読んだことがないという方は、まずは試し読みからでもOKです。
ぜひ自分の好みに合った『薬屋のひとりごと』の世界に触れてみてください。
- 『薬屋のひとりごと』は2種類の漫画が連載中
- ねこクラゲ版は絵が柔らかく、感情表現重視
- 倉田三ノ路版はテンポが良く、謎解き重視
- ビッグガンガン版は原作により忠実な構成
- SNSや二次創作ではビッグガンガン版が人気傾向
- サンデーGX版は巻数も多く読み応えあり
- 初心者はビッグガンガン版、ミステリー派はGX版がおすすめ
- 併読すると物語を多角的に楽しめる
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